私たちの生活に有用な生理活性物質の探索、応用、新規創製にむけて、微生物の探索、遺伝子・酵素の解析、化合物の生理活性試験に取り組んでいます。
研究課題の一部は、
科研費 学術変革領域研究(A) 予知生合成科学
の採択を受けています。

【薬の素を作る微生物を探す】

環境中には数多くの微生物が生育しています。
現在、新たな有用化合物、またはその化合物を作るために働いている酵素の探索源として、環境中からの微生物探索を進めています。特に放線菌や乳酸菌は、薬の素となる化合物を作り出すことで知られており、これらの微生物に着目して分離しています。

【微生物の遺伝情報を知り、その役割や働きを知る】

特徴的な生理活性物質を作り出す放線菌には、その物質を造るために必要な遺伝子を持ち、その遺伝子が翻訳されてできる酵素はまた、特徴的な触媒活性を持ちます。世界中で集積が進む遺伝情報には、まだまだ未知の有用酵素が眠っています。その酵素を見つけ出し、性質を調べる研究をしています。
私たちはその酵素の機能や性質を利用して、新しい薬の開発や、様々な疾病を調べる診断用酵素への応用、食品や工業原料を製造するための工業用酵素の開発を目指しています。

【遺伝子工学技術で微生物に新しい機能を導入する】

微生物、特に放線菌は、有用な生理活性物質や特殊な化合物を作り出しています。これらの生産に関わる遺伝子や酵素の機能解析の成果から、その遺伝子を他の放線菌に導入することで、新たな機能を獲得させることが可能です（遺伝子工学技術）。その結果、本来、その微生物では生産できなかった化合物を生産できたり、元々生産していた化合物を人為的に構造改編することが可能です。
この技術により、有機合成化学でも、天然からの単離でも見つかってこなかった化合物を新たに創り出すことができます。